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第1話 不機嫌なコンサートマスター
ケタガラン楽団のコンサートマスター ティンユー(アーロン)は幼い頃から活躍するバイオリニスト。だが彼は過去の記憶から不眠に悩み、周囲も彼の行動に手を焼いていた。コンサートの日、ティンユーに憧れるディエフェイ(ララ・リャン)は会場で胸を躍らせていたが、時間になっても彼は現れず連絡も取れない。同じ頃、アマチュアのバイオリニスト ハイジエ(シュウ・ジエカイ)は演奏のアルバイトに向かい、観光で台湾を訪れていたアリス(チョウ・ツァイシー)に出会う…挿入曲:シベリウス「バイオリン協奏曲」、サラサーテ「序奏とタランテラ」
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第2話 消えたバイオリン
コンサート当日にまた連絡が取れなくなったティンユー。リハーサルができずディエフェイは気をもむが、居合わせたハイジエが代理を務めて急場をしのぐことに。しかし、遅れて来たティンユーはその光景を目にして怒りをあらわにする。さらに、大切なバイオリン“シーガル”のケースを開けた彼の表情は一変。中身が安物のバイオリンにすり替えられていたのだ。そして、シーガルを運んだディエフェイに盗難の疑いが降りかかる。挿入曲:エルガー「威風堂々」、ヴィエニャフスキ「創作主題による華麗なる変奏曲」
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第3話 母娘の距離
ティンユーの前で演奏したハイジエは、ティンユーに理解されているような不思議な親しみを覚える。その頃ハイジエの姉 ハイナーは、娘 メイメイの反抗的な態度に悩んでいた。学校をサボッて街をうろつくメイメイは万引きの現場をリーシャーという女性に目撃されてしまう。リーシャーはカフェを経営する一方で、非行に走りそうな子供に救いの手を差し伸べている心温かい女性だった。そんな彼女のもとへ、ある日、実の娘を名乗る伊藤聖子という人物が訪れる。 -
第4話 響き合うバイオリニスト
聖子はティンユーに謝るという名目で家を訪ねるが、逆に彼を怒らせたうえ家に居座り、ティンユーが楽団に出かけるとこっそり部屋で何かを探し始める…。楽団の練習ではティンユーとハイジエが息の合った演奏を披露する。2人は性格こそ対照的だが、互いを認め理解するようになっていた。そんなある日、ハイジエは曲の解釈について意見するが、その意見は同時にティンユーやケタガランのやり方を否定するものでもあり、気まずい空気を生んでしまう。挿入曲:バッハ「2つのバイオリンのための協奏曲」、シューベルト 弦楽四重奏曲「死と乙女」
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第5話 確かな思い出
ディエフェイの誕生日パーティーに行ったティンユーとハイジエ。面倒がっていたティンユーもプレゼントを手渡すが、それはディエフェイが前から欲しいと思っていた物だった。ティンユーはディエフェイの素直な感情表現に戸惑いを覚える。一方、ハイジエは罰ゲームで恋人の話をするハメになり、アリスを思い出して泥酔してしまう。翌日、楽団ではシーガルに代わるバイオリンの候補が紹介され、ティンユーは“セイレーン”という、いわく付きのバイオリンに心を奪われる。 -
第6話 恋愛という名の戦争
セイレーンを求めて愛媛の松山を訪れた3人。ティンユーは江之島氏の前で難曲を弾きこなすものの、彼の音色に矛盾を感じた江之島氏は譲ることを拒む。同じ頃、別行動でアリスを捜していたハイジエは「アリス」と名乗る幼い少女に出会い…。ハイジエがアリスと再会すれば、自分の恋が完全に終わるとわかっているディエフェイ。それでもただ見守るだけという彼女の態度にティンユーはいらだち、この恋愛に加わることを宣言。そして強引な行動に出る。挿入曲:パガニーニ「バイオリン協奏曲 第1番」
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第7話 女心と夏の空
無理やりキスされたディエフェイは混乱し、ティンユーを置いて一人で帰ってしまう。旅館ではハイジエがいつもどおりの気楽な調子で出迎えるが、そんな彼の態度にさえいら立って当たってしまうディエフェイ。その晩、ティンユーはまた眠れずにセイレーンの感触を思い出していた。一方、セイレーンの所有者 江ノ島氏は自宅で不思議な光景を目にする。翌朝、ティンユーのもとへ突然 江ノ島氏からの使いがセイレーンを持って訪ねてくる。挿入曲:シューベルト弦楽四重奏曲「死と乙女」
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第8話 一生の恩人
アリスカフェを訪れたティンユーは聖子にリーシャーとの出会いを話す。それはティンユー自身の母親や不眠の理由にも深く関わる過去だった。リーシャーのことを秘密も含めてすべて知りたいと言う聖子は家でこっそりある物を探し始め、翌日、彼女の携帯には“SJ”という人物からメールが入る。一方、ディエフェイはティンユーのキスの真意を測りかねてハイジエに相談する。2人の関係を何とか修復しようとハイジエは一計を案じるのだが…。 -
第9話 いつまで友達のまま?
ハイナーは結婚式当日を迎えるが、淡い期待に反して両親は姿を現さず式が始まってしまう。その頃、カフェでバイトをしていた聖子は“SJ”に呼び出される。彼が手にしていたのはハイジエがアリスに送ったハガキの束だった。一方、仕事に戻ったディエフェイは監督から用事を任されてティンユーの家へ。彼は作曲が進まずいらだっていたが、2人の気まずさは徐々に薄れ、ディエフェイはハイジエに告白することをティンユーに宣言する。 -
第10話 心に刺さった過去
突然ティンユーの家へ来た聖子。ティンユーは彼女にリーシャーとの思い出を語り始める。リーシャーと出会った頃のティンユーは母の期待に応えようと、コンクール優勝を目指して練習の日々を送っていた。プレッシャーに押し潰されそうになる中、リーシャーのそばでは不思議と心の平穏を取り戻すことができた。次第に自分の道を考えるようになったティンユーは一大決心をするのだが、リーシャーとの関係を母に誤解され、事態は思わぬ方向へと発展していく。挿入曲:パッヘルベル「カノン ニ長調」
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第11話 神に与えられた特権
ディエフェイの歌声を聴いたティンユーはその美声を取り入れようと楽団員たちに提案する。突然のことにディエフェイ自身は驚いてその場から逃げ出してしまうが、ティンユーは自分が一人前の歌手に育ててやると言い切る。そんな中、監督とユーシューの不倫がゴシップ雑誌に載り、姉妹そろって大慌て。さらに、ティンユーが監督にディエフェイを住み込みのアシスタントにしたいとまで言い出し、ディエフェイはハイジエにバレたらどう思われるかと動揺する。 -
第12話 天才ゆえの苦しみ
ティンユーの世話をするという名目でディエフェイは住み込みを始め、歌の特訓を受けることに。そんなある日、ティンユーはリーシャーの家に招かれて聖子と3人で食事をし、彼女を意識しだす。その晩、腕をケガしてしまったティンユーは聖子に手当てをしてもらい…。一方、なかなかレッスン内容をのみこめないディエフェイはティンユーに怒られてばかり。「才能に見合う努力をしろ」と怒鳴られるが、同時にティンユーの孤独な苦悩を垣間見る。挿入曲:バッハ 「シャコンヌ」
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第13話 アリスの幻
楽団のコンサートの日、会場にはティンユーに招かれたリーシャーと聖子が来ていた。聖子を見たハイジエはアリスが戻ってきたと思い込み、彼女の後を追って飛び出していく。その姿にディエフェイは改めてハイジエの思いの強さを知って傷つくが、感情を歌に託すことで心の傷が癒えることをティンユーに教えられる。翌日ティンユーを訪ねたハイジエは、アリスだと思った女性が実はリーシャーの娘で、しかもティンユーと交際中だと知らされる。 -
第14話 託された遺品
聖子に拒絶されて傷ついたハイジエはすっかり無気力になり、彼女の別れ際の言葉を思い返していた。その頃、聖子は祖母の具合が悪いと聞いていったん愛媛へ帰ることに。リーシャーは聖子にある物を祖母へ返してほしいと手渡すのだが、聖子は出発直後に突然、婚約者の佐々木によってどこかへ連れ去られてしまう。同じ日、ディエフェイは父と2人で母の墓参りに行き、母を亡くして以来ずっと背負ってきた罪の意識を打ち明ける。挿入曲:チャイコフスキー「懐かしい土地の思い出」
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第15話 失意の帰郷
佐々木の監視の目をかいくぐり、なんとか帰国した聖子は祖母に指輪を見せ、リーシャーに会ったことを告げる。一方、ショックから立ち直れないハイジエは監督に書き置きを残して楽団を去る。何も知らないディエフェイはいつもどおり楽団へ行き、自分のデビュー計画を知って気弱になるが、その態度を目にしたティンユーはハイジエへの不満もあいまってディエフェイに怒りをぶつける。その言葉で初めてハイジエが去ったことを知ったディエフェイは…。挿入曲:チャイコフスキー「バイオリン協奏曲」
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第16話 湧きあがる疑惑
突然帰国した聖子を不審に思うティンユー。彼女の素性を疑うが、リーシャーは聖子を実の娘だと言い切る。愛媛では聖子の祖母が倒れ、自分たちが聖子をリーシャーから引き離したのだと真実を言い残して他界してしまう。1人残された聖子は悲しみに暮れるが、祖母が長年隠していた家族写真を偶然見つける。一方、疑念を払いきれないティンユーはリーシャーが聖子を「アリス」と呼ぶのを聞いて不信感を強め、ある人物に調査を依頼する。 -
第17話 見え始めた真実
ディエフェイへの批評についてハイジエは怒りもあらわに抗議するが、ティンユーは対照的な冷静さでディエフェイの勝利を断言し、次の審査を目前に控えたディエフェイを突き放して自宅に帰す。ネットにはオーディションに関するコメントが多く書き込まれており、監督とユーシューは計画どおりの展開に満足の表情を浮かべる。そして迎えた2次審査の日、控室では不正の噂がささやかれ、ディエフェイは本番中に致命的ともいえる失敗をしてしまう。 -
第18話 信じていたいのに
ディエフェイはオーディションの出場者たちと過ごすうち、ライバルという壁を越えて彼らと友情を深める。そんなある日、最終審査の準備に行き詰まってハイジエを訪ねると、彼は失恋の痛手に落ち込んでいた。2人は気分転換に出かけて楽しく過ごし、その夜ディエフェイは母の遺品からパフォーマンスのアイデアを得る。台湾に来ていた聖子はリーシャーと親子水入らずで過ごすのだが、リーシャーの脳裏にはティンユーの忠告が浮かぶ。 -
第19話 輝く夢の裏側
オーディションで1位を勝ち取り、幸せと感謝で胸いっぱいのディエフェイ。ところが酔ったジョージから審査の裏事情を聞いてしまい、ティンユーに真実を問いただす。始めは不正を非難するディエフェイだったが、「ドリームガーデン」に秘められたティンユーの思いを知り、ようやく自分自身の本当の思いにも気がつく。しかし幸せも束の間、不正を許せないディエフェイは翌朝ティンユーに何も告げずにマンションを後にすると、そのまま失踪してしまう。 -
第20話 襲いかかる危機
ディエフェイはティンユーのスキャンダルにショックを受けるが、彼への思いは変わらず、かといって楽団のやり方も許せず辞職を決意。リーシャーは聖子と親子水入らずの時間を楽しんでいたが、見知らぬ男たちに襲われる。リーシャーをかばった聖子は深い傷を負って病院へ運ばれ、動転したリーシャーは医師に自分は実の母親ではないと口走ってしまう。楽団のアルバムは着々と準備が進んでいたが、売れ行きを懸念する監督は密かにある修正を加える。挿入曲:チャイコフスキー「バイオリン協奏曲」
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第21話 偽りの音色
アルバムが発売されティンユーの演奏は高い評価を受けていた。しかしディエフェイはその音色に違和感を覚える。ティンユー自身もアルバムを聴いて愕然とし監督を問いただすが、逆に才能の限界を突きつけられて絶望する。ディエフェイに言われて初めて事実を知ったハイジエは激情してティンユーに殴りかかり、監督を非難するのだが、監督は悪びれる様子もなく小切手を差し出し、さらにティンユーへの裏切りともいえる提案を持ちかける。 -
第22話 闇の呪縛
真実を暴露したティンユーはハイジエを訪ね、もう二度とステージには立たないと告げる。楽団が窮地に陥る中、タン監督はユーシューとともに姿を消してしまい、そのうえ帳簿を調べたティンユーによって監督の資金流用が発覚。ケタガランは解散を余儀なくされる。そして肩を落とすティンユーの前にどこからともなく見知らぬ少女が現れ…。その後、連絡の取れなくなったティンユーを心配するディエフェイ。彼はまた1人きりで過去に心を捕らわれていた。 -
第23話 アリスの種の秘密
自分にとっての特別な場所へと安らぎを求め赴いたティンユー。森の中で不思議な幻に出会うと、やがて1人静かに作曲に打ち込み自然と眠りに落ちていく。一方、容体が不安定な聖子はリーシャーの帰りを待ちながら、ハイジエにアリスの種をめぐる争いや父親のことを語る。ようやくアメリカから戻ったリーシャーは佐々木から種を守るため一計を案じることに。事はうまく運んだかのように見えたが、佐々木の怒りを買い、さらなる危険を招いてしまう。挿入曲:パッヘルベル「カノン ニ長調」
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第24話 奇跡の温もり
リーシャーはアリスの種のありかへと佐々木を連れていくふりをし、逃げ出そうとする。しかし追い詰められた彼女はついに“アリスの種”をポケットから取り出し…。そんな危機を知らないティンユーはディエフェイに見守られながら心穏やかに作曲を続け、「ドリームガーデン」のラストを書きかえる。それはティンユー自身の思いに重なるものでもあった。数日後、すべてが終わり悲しみに沈む聖子を見つめるハイジエの脳裏には、ある記憶が蘇る。挿入曲:ベートーベン「エリーゼのために」